【熊野磨崖仏】in大分8ーー神仏習合の山岳信仰の地、国東の六郷満山文化を巡る

大分ーーOita
豊後高田ーー住みたい田舎8年連続ベスト3 Bungotakada
ここに至るまでの山道はわかりづらく、グネグネとしている
のでナビを頼りに目的地を目指します。
 
胎蔵寺に併設している駐車場に停め案内所で拝観料
を払って登山開始。
ーー杖が置いてあるため借りましょう
 
朝一番乗りのため、他に誰もいなくて快適です。
険しいながらも新緑の道は心癒されます。
 
登山道はハイキングとは違い、トレッキングのよう。
生半可な気持ちだと途中で力尽きてしまいます。
ーートイレは駐車場の下にしかないため、先に済まして
  おきましょう
 
鳥居の奥に続く石段は100段あり、鬼が一夜にして自然石
を不器用に積み重ねたと伝えられています。足元が悪いため
後ろに続く人たちは苦労していました。
 
左に見える平安時代末期の作品である国内最古にして
国内最大級の不動明王(約8m)は圧巻です。右に見える
大日如来(約6.7m)と対になっています。
ーー国指定重要文化財
 

Column

磨崖仏
自然の懸崖または岩壁に仏像を直接彫刻したもののこと。
アジアの仏教圏に特に多く、日本では大分に数多く造立
されている。

◆大規模な遺跡は”石窟”、”石窟寺院”と呼ばれ
小規模なものを”磨崖仏”と称されているが明確な違いはない

◆平安初期~後期に最も多く造立される。特に大分県には
約400体あり、全国の6~7割を占める。

 
不動明王は怒りの表情が一般的ですが熊野磨崖仏は表情が
柔らかく、全てを包み込むかのような母性が溢れています。
 
どうやって掘ったのか、どんな道具を使ったのか先人の
造形技術には感服するしかありません。
 
さらに階段を上に行くと石壁にめり込まれた
「熊野権現」のお目見えです。
 
熊野摩崖仏で引き返さないで御社でお参りする
と清々しい気持ちになります。
 
石段は上るより下りる方が大変で怖いです。
そろそろと手すりを掴んで滑らないように慎重に下りて
いきましょうーー
 
胎蔵寺
六郷満山霊場、第六番のお寺。
山自体が御神体となっています。
熊野磨崖仏から駐車場に戻る途中の崖に建っています。
 
安倍晴明ゆかりの清明石。国東最大のパワースポット
と書いてあります。
ーー囲いも何もないので他の石と取り換えても
  気付かなそう(笑)
 
龍の取水所や七福神にはキラキラした護符シール
が貼ってあり太陽光に反射して綺麗です。黄金宮
ならぬ黄金神社になっており秀吉好みの豪華絢爛
に仕上がっています。
ーー宝くじが当たると専らの評判です
 
住所:大分県豊後高田市田染平野
TELL:0978-26-2070
営業時間:8時00分~17時00分(夏季)
     8時00分~16時30分(冬季)
定休日:なし
入場料:大人¥300 小人¥150

関連サイトhttps://www.showanomachi.com/spots/detail/136

真木大堂(伝乗寺)ーーTemple

大分県の北東部に放射状に飛び出た国東半島は火山活動
によって形成されました。
 
国東半島は古来より石仏が多く、修験が行われていたため
「六郷満山」と名称され“仏の里、国東”と呼ばれています。
ーー来縄(くなわ)、田染(たしぶ)、安岐(あき)、武蔵(むさし)
  国東(くにさき)、伊美(いみ)の6つの郷
 
熊野磨崖仏から山を下りた先に人が多く賑やかな雰囲気
を感じたので車を停めてよく見てみたらただのカカシ
ですなあ。
 
どうやら田染真木地区では「田染荘収穫祭」や「案山子ウォーク」
に向けて案山子作りが行われているそうです。
 
六郷満山霊場、8ヶ寺の一つ。
収蔵庫には本尊阿弥陀如来座像や四天王立像
大威徳明王像など9体の仏像が安置されています。
ーー写真撮影禁止
 
特に不動明王立像は木彫としては日本一の大きさを誇ります。
ーー昭和25年、国の重要文化財に指定

江戸時代に建立された真木大堂旧堂は収蔵庫に移されるまで
本尊他仏像が安置されていました。
 
庭にある古代文化公園では様々な祈りを形にした石造物の一群
が見学できます。
 
六郷満山の仏教文化の遺産として寺院や山岳に散在した国東塔
宝筐印塔(ほうきょういんとう)、庚申塔(こうしんとう)
五輪塔、板碑、石仏等多くの石造が集まっています。
 
裏山は馬城山伝乗寺大展望となっていて所要時間30分の登山道
です。登り階段は険しいですが熊野磨崖仏の石段に比ぶればどう
ってことありません。
 
山頂には金毘羅宮が祀られています。木々により視界が制限され
ていて見晴らしは思ったより良くないので無理して登る必要性は
なさそうです。
 
まるで生きているかのようです。井戸端会議をしている婦人
の集まりかと思わず二度見してしまいました。
 
住所:大分県豊後高田市田染真木1796
TELL:0978-26-2075
参拝時間:8時30分~17時00分
定休日:年中無休
拝観料:一般・高校生¥300 中小学生¥150

関連サイトhttp://www.makiodo.jp/index.html

富貴寺ーーTemple

富貴寺の大堂と仏像はこの大榧(おおかや)を使って造られました。
九州最古の平安時代に建てられた木造建築。
 
キリシタン大名の”大友宗麟”によって多くの仏教寺院が破却
されましたが富貴寺大堂は奇跡的に生き残りました。
 
富貴寺大堂は「平等院鳳凰堂」「中尊寺金色堂」と並んで
日本三阿弥陀堂”のひとつに数えられています。
 

Column

日本三阿弥陀堂
阿弥陀信仰が隆盛を誇った平安時代に建立。
国宝に指定されている歴史的価値のある阿弥陀堂。

◆【富貴寺大堂】(大分県豊後高田市)
九州最古の木造建築物。建立12世紀

◆【平等院鳳凰堂】(京都府宇治市)
10円玉に描かれた藤原氏ゆかりの仏教寺院。建立1053年

◆【中尊寺金色堂】(岩手県西磐井郡平泉町)
奥州藤原氏ゆかりの寺院建築。建立1124年

屋根の附旧棟木は1952年、国宝に指定されています。
宝形造、瓦葺。
瓦葺きは特殊な形の瓦を順々に差し込んだもので
「行基葺き」と呼ばれます。
 
四天柱で内陣が区切られた本堂には本尊の高さ約85㎝榧材
寄木造りの阿弥陀如来坐像が安置しています。
 
国宝のお堂の中の壁画は彩色が剥落しているため
色落ちや剥落を防ぐため、日光を制限し保存しています。
ーー堂内撮影禁止
 
華美な装飾を施すことなく、外観は質素ながら気品
があり木造の味わいは他の建築物には出せない魅力
を醸し出しています。
 
富貴寺には色々な石造文化財が残されていて
奥の院の石窟に薬師如来像が安置されています。
 
富貴寺は四季折々に移り変わる美しい表情を見せてくれます。
特に紅葉の時期は黄色いイチョウの葉が落葉し、黄金色の絨毯
が敷かれ、その上に浮ぶ大堂は圧巻で中尊寺金色堂よりも黄金
に染まっているかもしれません。
 
住所:大分県豊後高田市田染蕗2395
TELL:0978-26-3189
参拝時間:8時30分~16時30分
定休日:年中無休
拝観料:一般・高校生¥500 中小学生¥150

関連サイトhttp://www.makiodo.jp/index.html

総括ーーSummary

なぜーー大分に石仏が多いのか?
源泉数・湧出量ともにおんせん県として有名な大分ですが
実は磨崖仏の数も日本一を誇ります。
 
磨崖仏は県内で約400体あり、全国の6~7割を占めています。
その理由は主に3つあります。
 
1. 国東半島を中心に六郷満山文化が栄えたこと
2. 阿蘇の溶結凝灰岩など加工しやすく柔らかい石材が多かったこと
3. 豊富な石材を加工する伝統技術が受け継がれてきた
磨崖仏は造られた年代や誰がどのように、どんな道具を使って
造ったのか明らかになっていません。そのため全て推察の域
をでません。
 
大分にはこういった石像の美術品が多数現存しています。
石仏までの道中を楽しみつつ、県内各所の歴史的遺産を
巡って先人の偉大さに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
 
(次回)なつかしいニオイ!?イエスタデイワンスモア!!
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