鹿児島ーー日本を近代化に導いた薩摩 Kagoshima
尚古集成館ーーMuseum
ー史跡 鹿児島紡績所跡ー
イギリスから輸入した蒸気機関と紡績機械を使って
大量生産する、日本における産業革命の起点とも
いえる工場施設。
薩摩藩第28代当主”島津斉彬”により始まった集成館
事業の一環として、1867年(慶応3)この場所に紡績所が操業しました。
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭
産業」を構成する「旧集成館」の機械工場として
2015年に世界遺産に登録。
ーー日本最初の本格的洋式石造建築物。
別名「ストンホーム」
1923年5月22日に島津家の歴史・文化と集成館事業
を語り継ぐ博物館尚古集成館として開館しました。
館内は3つのゾーンに分かれていて薩摩の歴史や薩摩
独自の文化、集成館事業と近代化について紹介しています。
幕末に薩摩藩が建造した昇平丸
船尾に掲げられた日の丸は外国船と区別するための
船印でしたが、後に幕府によって国旗、すなわち
現在の”日の丸”へと昇格されました。
仙巌園とセット券なのでどちらを先に見学しても
楽しめること請け合いです。
ー薩摩ガラス工芸ー
伝統工芸ーー薩摩切子を一個一個手作りで製造して
いる無料で見学可能な工場。
一つのガラスからコップが出来上がり、文様が刻ま
れる一連の工程は見ていて飽きません。
Column
「薩摩切子」
薩摩藩が幕末から明治初頭にかけて生産した
ガラス細工・カットグラス(切子)
薩摩ガラス・薩摩ビードロとも呼ばれる。
◆長崎から伝来した外国のガラス製造書物を元
に第10代薩摩藩主島津斉興によって始められた
事業
◆海外交易品や大名への贈り物に用いられたり
篤姫の嫁入り道具として幅広く活用された
いったん途絶え、幻となってから約100年後
1985年、斉彬公ゆかりの地、鹿児島で復刻生産されました。
世界に誇るガラス工芸の伝統を受け継ぎ、現代の
ライフスタイルに合わせた新しい「薩摩切子」が
生み出されました。
工程ごとに説明が書いてあり、整理された綺麗な
工場で職人さんが真剣に加工している姿が見られます。
日本的な「ぼかし」や、西洋のようなゴージャスな
カットデザインなどを融合した世界に類のない技術です。
薩摩切子は高価なため、なかなか手が出ません
が半永久的に使い続けられるため、最高の思い出の
品になります。
ガラス工場の横に周りの景色に溶け込んだモダンな
有形文化財をリノベーションしたシアトルを拠点と
するコーヒーチェーン店”スターバックス”
おしゃれな内装で桜島を眺めながら飲むコーヒーは格別です。
住所:鹿児島市吉野町9698-1
TELL:099-247-1511
開館時間:8時30~17時30
休館日:年中無休
入館料:(仙巌園と共通)大人¥1,000 小中学生¥500
鶴嶺神社ーーShrine
鶴嶺神社(つるがねじんじゃ)は1869年(明治2)
島津氏の歴代当主と家族等をお祀りする神社
として鹿児島城下町の照国町に創建されました。
仙巌園に近接していますが、敷地内には属して
いないため参拝は無料です。
ーー御朱印は仙巌園の受付で頂けます
1873年(明治6)県社に列せられ、竜尾神社を合祀し
1917年(大正6)に現在地に遷座されました。
神社内にあった多くの貴重な文化財官軍の強奪に
より失いました。
これらの宝物の消息は現在に至るまで不明であり
鹿児島県が文化財過疎県である一因となっています。
亀寿姫にあやかった「島津美人御守」は
ここでしか買えない女性参拝客に人気の御守りです。
島津氏と源頼朝の関係性ーー
鎌倉時代初め島津氏は源頼朝から薩摩・大隅・日向
の3ヶ国の守護職に任命されました。
源頼朝は持仏堂であった大倉山麓の法華堂に葬られ
ましたが、五輪塔が立つばかりの荒廃ぶりを見て
島津家第25代島津重豪公墓所が再興。
その行いに感謝した鎌倉市民有志により、宗家島津
修久氏の快諾を得て鶴嶺神社に報恩塔を建立しました。
仙巌園ーーGarden
仙巌園は第19代島津久光によって1658年(万治元年
)に造られました。
ーー別名:磯庭園(いそていえん)
島津氏は鎌倉時代の1185年(文治元)より1869年
(明治2)の版籍奉還に至るまで約700年間にわたって
南九州を治めてきました。
歴代当主の別邸として桜島を望む庭園や御殿は当時
の大名家の暮らしを今に伝えています。
鎖国の時代でも海外の情報がいち早く届いていた
薩摩は、欧米列強のアジア進出や植民地政策に
危機感を覚えました。
藩主島津斉彬が中心となって西洋の技術を導入し
軍備や産業の近代化に取り組みました。
ーー集成館事業
仙巌園、尚古集成館の敷地である磯地区は
明治産業革命遺産として2015年に世界文化遺産
に登録されました。
集成館で最初に築かれたのは鉄製の大砲鋳造
に必要な反射炉でした。
1号炉は耐火レンガが崩れ失敗。2号炉は1857年
(安政4)に完成し、鋳造に成功しました。
反射炉を中心に溶鉱炉やガラス工場など様々な工場
が整備されました。
集成館は1863年(文久3)薩英戦争でイギリス艦隊
の攻撃を受け焼失。現在は2号炉の基礎部分などが
残り世界遺産の構成資産となっています。
「チェストー!」と叫んで木刀を振り下げる
野太刀自顕流(薬丸自顕流)の基本的な修行法
”横木打”が体験できます。
チェストは気合を入れるための掛け声で明確な意味
はありませんが、”それいけー!””やー!”など大河
ドラマ「西郷どん」でも使用されました。
ー錫門ー
江戸時代に正門として使用。
屋根は錫(すず)の板で江戸時代には当主とその世継
ぎしか通れませんでした。
島津斉彬[渡辺謙]が薩摩と江戸を行き来する際の
シーンで撮影されました。
ーー大河ドラマ「西郷どん」撮影地
ー磯御殿ー
殿様が暮らし、雄大な桜島を愛でた御殿。
島津家当主の往時の暮らしぶりを感じられます。
最後の藩主となった島津忠義が明治30年に亡くなる
までここで暮らしました。
ーー別料金¥300
御殿前の伐採作業に伴い、御殿内に入ることができませんでした(泣)
歴代の島津藩主が愛した眺めです。天候には恵まれ
ましたが、桜島にかかる分厚い雲で少し残念な眺め
になってしまいました。
ー高枡ー
石積みの水路から流れてきた水は工業用水として
活用されました。
サイフォンの原理を用いてこの高枡から御殿前の
池などに排水しています。
曲水の庭の石階段。ドラマの登場人物になった
気持ちで歩くとタイムスリップ気分!
西郷たちが話し合うシーン
ーー大河ドラマ「西郷どん」撮影地
ー猫神神社ー
猫を祀る祠。17代島津義弘は文禄・慶長の役で
朝鮮出兵の陣中で7匹の猫を連れて行きました。
ー仙巌園ブランドショップー
仙巌園内の島津薩摩切子工房の直営店。
販売も行っていますが、見て回るだけでも楽しめます。
二層の色ガラスを彫りわけ、色ガラスの厚みの
差をカッティングし彫加減を調整します。
美しい…使わなくても部屋のインテリアとして飾りたいくらいです(悦)
鹿児島県産の名物を使用した土産処やレストラン
が建ち並びます。夏には避暑地となり、休憩所と
して活用できます。
お土産はここだけで全て揃うくらいバラエティが豊富です。
「安納冷やし芋」
安納地区で収穫された糖度40度の希少価値が高い
種子島産の安納芋を使用しています。
焼き芋は熱々に限ると思いますが、冷やしても
おいしく甘くてデザートのようです。
「両棒餅(じゃんぼもち)」6本¥360
両棒(ぢゃんぼ)は鹿児島の方言で
「武士の大小の刀」を意味し2本の竹串は侍の大小
の刀をイメージしています。
みたらし団子に似ていますが、トロミのある醤油
と味噌は濃厚で大きくないけどおいしさはジャンボ級です。
「芋焼酎ソフトクリーム」¥350
鹿児島限定の味。ほのかに芋焼酎の香りがする甘い
大人のソフトクリームです。
住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1
TELL:099-247-1551
開園時間:8時30分~17時30分
休園日:年中無休
入園料:大人・高校生以上¥1,000
中高校生¥500(庭園・尚古集成館)
関連サイト:https://www.senganen.jp/
総括ーーSummary
野太刀自顕流(薬丸自顕流)の最大の特徴は
初撃に全てを賭ける一撃必殺の技です。
二、三の太刀を考えると迷いが生じるため
一の太刀で相手を倒すという防御を捨てた
まさに攻撃は最大の防御を体現している剣術です。
あまりに恐ろしい威力を持つため、かの新選組局長
の近藤勇は隊士にこう言っています。
「薩摩の初太刀は外せ」
一撃目で、脳天をかち割り、仕留める恐怖の一撃。
薩摩藩士は朝夕何千回と、絶叫しながら木刀を
振り下ろす血の滲むような稽古で身に着けました。
(次回)ーー西郷どんの半生