【大川内山】in佐賀9ーーそこかしこが磁器で出来ているオブジェの秘窯の里にツヴィンガー宮殿

佐賀ーーSaga
伊万里ーー日本の磁器発祥の地 Imari
有田焼の中には代表的な3つの様式があることを
知っていますかーー
「古伊万里様式」「柿右衛門様式」
「鍋島藩窯様式」の3様式です。
 

Column

有田焼
400年の歴史を持つ日本最古の陶磁器。
「伊万里焼」とも呼ばれる。非常に細かい
手作業での絵付が特徴で製作工程が分業制。

古伊万里様式ー(江戸時代)
染付だけの単色で素朴な物から金襴手を
あしらい豪華絢爛な物もある。

柿右衛門様式ー(江戸時代)
1670年代に確立。バックの白磁の美しさを
極限に生かし、色彩鮮やかに描いた様式。

鍋島藩窯様式ー(江戸時代)
染付で下絵の後、赤・青・緑の三色を基調と
した「色鍋島」藍一色の添付し、緻密な技法
で落ち着いた「藍鍋島」大川内山から産出
する青磁原石を用いた青翠色の「鍋島青磁」に分かれる。

 
1660年代頃に鍋島藩の御用窯が築かれ大川内山
で日本の磁器の中で最も格調高い「鍋島」が
人知れず作られてきました。
 
鍋島は将軍家への献上品や諸大名への贈答品
など限定的な使用をするために特別あつらえ
たやきものです。
 
役所や番所を設け、人の出入りなど厳密に
管理されてきました。
 
そのため、その伝統や技法は外に漏れることなく
現在でも鍋島の伝統を受け継ぐ窯元が軒を連ね
伊万里焼(有田焼)が生み出されています。
佐賀県遺産ーー秘窯の里
 
大川内山に訪れる際に必ず渡り
そして目を奪われる鍋島藩窯橋。
 
橋の欄干には伊万里焼が使われていて
美しく色付けされた壺や陶板が張り付け
られています。
 
窯元めぐりの石畳メインストリート。
狭い路地に入ると約30の窯元が軒を連ねています。
店頭に並ぶ焼き物に誘われ、素敵な一品に出会える
こと間違いなしです。
 
陶板で装飾されている橋を渡って
鍋島公園内の大川内山を一望できる展望台
に向かいます。
 
展望台の大壁面は圧倒される大きさでインスタ映え
スポットとしてオススメです。
一体何枚分の陶磁器が使われているか気になります。
 
谷間に建つレンガ造りの煙突やゆるやかな坂に
窯元が建ち並ぶ江戸時代をそのまま岩壁や急峻な
山で封じ込めたかのよう。日本の原風景とは少し
異質な世界が広がっています。
 
トンバイ橋の下に流れる小川のせせらぎ
が心地よいです。
堤防には伊万里焼が埋め込まれていて大川内山
ならではの景色を見られます。
 
坂の一番上からの景色。
小さな趣のある陶芸の里は陶芸に興味なくても
歩くのが楽しいです。
 
加藤清正と直接的な関係はありませんが
陶工達の間に日蓮宗の信者が多く、同じく
日蓮宗である清正公を祀っています。
 
日用品の全てを伊万里焼にして素敵な陶器
に囲まれたらどんなに幸せなことでしょう。
 
伊万里・有田焼伝統産業会館
無料の駐車場の隣にある色鍋島等に代表される
大川内山の焼き物を展示しています。
 
観光情報やお好みの伊万里焼のカップでコーヒー
を飲める喫茶コーナーもあり一休みに立ち寄り
たくなります。
 
鍋島藩窯の歴史や伝統が学べます。
まずはここで情報収集して気になった焼きもの
があったら地図を確かめて窯元へ訪ねに行くと
効率が良いです。
 
鍋島藩窯秋祭りでは、江戸時代の文化にならい
”献上の儀”を行っており、姫路城、熊本城など
全国の名城に献上しています。
 
鍋島藩がなくなると、陶工たちは藩の庇護を失い
自らの手で販売しなければならなくなりました。
 
そのため、技術力の高さを生かし、新しい作風
を模索し、このような緻密な細工を作りました。
 
伊万里の山奥にある鍋島藩の窯元。
伊万里焼きを使った橋や案内板など全てが
磁器でできているのか疑ってしまいがちです。
 
他にもどこに使われているか探しながら歩いて
散策すると楽しいですねーー
 
住所:佐賀県伊万里市大川内町乙1806
TELL:0955-23-7293
営業時間:9時00分~17時00分
休業日:年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:有
入館料:無料

関連サイトhttps://www.city.imari.saga.jp/4483.htm

有田ポーセリンパークーーPalace

佐賀の山奥に突如出現したかのような巨大建造物。
有田焼を国内外にアピールする目的で1933年に
オープンしましたが、バブル期のような賑わいは
既になくなっているかんじです。
 
ドイツのドレスデンにある「ツヴィンガー宮殿」
を模した西洋建築物のようです。
再現度高けーな、オイ!
 
◆Pick up◆

ツヴィンガー宮殿

所在地:ドイツ・ザクデン州都ドレスデン
築造年:1709年~1728年間にかけて建造
築造主:アウグスト王ーードイツ・ザクセン選帝
    侯であり、ポーランド王

◯バロック様式の宮殿

◯現在はドレスデン美術館のアルテ・マイスター
 絵画館等として利用されている

 
当時ヨーロッパでは磁器をつくる技術がなく東洋
から渡ってくる絵が描かれたやきものに頼って
いて王族貴族に熱心なコレクターが多くいました。
 
特にアウグスト王は特に最大のコレクターであり
古くからのやきものを通じた東西交流が実を結び
1979年、有田町とドイツのマイセン市は姉妹都市
として締結しました。
 
正面からだと全体図が捉えられないくらい巨大
な宮殿です。
 
彫刻など細かいところまで造りこまれている
門を抜けます。裏側はハリボテではありません。
ーー作りこみがハンパないです。
 
有田焼で作られた噴水をメインに据えて、両側に
シンメトリーのバロック庭園、バックに宮殿が
一緒に写った西洋風の景色は一見の価値ありです。
 
トンバイ塀。
トンバイとはーー登窯を築くために使った
内壁用の四角い煉瓦のことです。
 
登窯が壊されたときに廃材がたくさん出ますが
そのトンバイと廃材を赤土で塗り固めて築いたのが
トンバイ塀です。
トンバイは大川内山の橋にも見られます。
 
ドイツの緑豊かな森の風景を磁器独特の色合い
で四季を表現したモニュメントです。
 
有田焼のチェスの駒。
欲しい!家の庭に飾りたい!
 
有田焼工房も敷地に含まれていて展示、販売だけ
ではなく有田焼のろくろや絵付体験ができます。
 
さらに運営が1985年創業の有田市の宗政酒造株式
会社のため、試飲や販売、酒蔵見学ができます。
観光客の大半が日本人ではありません。
 
そのため、レストランやお土産コーナーでは日本語
だけでなく、中国語や韓国語で案内しています。
 
住所:佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙340番地28
TELL:0955-41-0030
営業時間:9時00分~17時00分
休業日:年中無休
駐車場:有
入場料:無料(アートギャラリー大人¥600
      中高生¥300)

関連サイトhttps://www.arita-touki.com/

総括ーーSummary

日本国内において磁器の生産が本格的に開始
されたのは江戸時代前期の1616年(元和2)頃
肥前有田で海外に向けて積み出されました。
 
積み出された焼物の地名にちなんで一般に
「(古)伊万里」と呼んでいます。
 
有田焼(伊万里焼)は世界中で名が広まっています。
特に繊細な作風で知られる “柿右衛門様式”は
ヨーロッパや磁器発祥の地である中国の景徳鎮窯
が模倣するほどの影響力をもつ、世界的に類を
見ない作品でした。
 
日本の磁器発祥の地として、有田焼は国内外に
多くの愛好家をもち世界的な名窯として現在でも
名を轟かせています。
 
(次回)ーー日本最大の単独テーマパーク
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